双子が毎日相撲を取っています。カブトムシとクワガタに扮して角がとられたとか言いながら、毎日同じレベルの人間と遊べるのは幸せそうに見えます。それをながめられるのも幸せなことです。
私は高校時代、空手部にいました。正直に言えば、私はレギュラーではありませんでした。周りの仲間がとにかく強かった。おかげで、全国大会という舞台まで連れていってもらいました。
顧問の相馬先生はよくこう言っていました。
「お前らの拳は凶器だ。だから喧嘩なんか絶対するな」この言葉は、今もずっと私の中に残っています。
私はその教えを守り、人生で一度も喧嘩をしていません。若い頃は「弱くなったのかな」と思うこともありましたが、大人になった今は、戦わない強さを教えてもらったのだと、はっきり分かります。
今から10年前にOB会がありました。
卒業から27年が経ち、久しぶりに顔を合わせた仲間たちは、当時と同じ熱量で迎えてくれました。
その席で言われた一言が、今でも忘れられません。
「渋谷、お前ほんとに練習嫌いだったよな」驚きました。毎日、授業後に4時間、5時間と一緒に練習していたつもりだったからです。ところが、仲間たちはこう言うのです。
「俺たち、家に帰ってからも練習してたぞ」
それを聞いたのは、私が43歳の時でした。27年越しに知った事実です。
ちょうどその頃、渋谷商会の専務になりました。家に帰ってからも仕事をするようになりました。
今振り返ると、あの時初めて、仲間が家で黙々と練習していた理由が分かった気がします。
空手部で教わったのは、技だけではありません。
黙って積み重ねる者が、最後に結果を出す。力を持つ者ほど、使い方に責任を持たなければならない。今も、私の仕事や人生の土台になっています。先生の授業は、高校で終わりではありませんでした。
社会に出ても、立場が変わっても、その教えは形を変えて、ずっと続いています。
戦わなければ弱いこともばれませんので、今後も私は戦わないことでしょう。ちなみに空手を始めたのは父親を倒すためでした。戦っても勝てなかったと思いますが。