先日、私の叔母さんが、これまでお世話になっていた高齢者施設から、特別養護老人ホームへ入居することになりました。いわゆる『老人ホームの引っ越し』です。入居にあたっては健康診断を受けたり、事前の面談や書類確認など、想像以上に多くの手続きが必要でした。家族としても負担は少なくありませんが、それだけ慎重に、責任を持って入居者を受け入れている証でもあるのだと感じました。
新しい施設へ伺ってまず驚かされたのは、施設全体の「匂い」へのこだわりです。エレベーターの中、各階のフロア、玄関に入った瞬間の空気──どれも違う香りで整えられており、単なる芳香剤ではなく「その場所にふさわしい空気をつくる」という意図が伝わってきました。また、飾られているお花も、ただ置いてあるのではなく、『いかに可愛く見せるか』を考えて飾られているのが分かるほど丁寧でした。さらに廊下の絵画や照明の優しい設計、どこまでもフラットで歩きやすい床、そして自動ドアの開閉速度ひとつにまで、施設の「やさしさ」が込められているように見えました。
今回入居できたのは「マナーハウス」という施設で、待ちが年単位で出る人気の高いホームです。入れるまでに時間はかかりましたが、ようやく願いが叶い、安心できる環境を用意できたことに、家族としてほっとしています。
しかし同時に驚かされたのは、書類の多さです。重要事項説明書、健康管理に関する書類、緊急時対応、面会規定、個人情報の取り扱い、医療連携……そのほとんどが複数枚あり、何度も確認と押印を求められました。不動産賃貸の契約書が『可愛く見える』ほどで、介護の世界がどれだけ緻密に運営されているのかを実感しました。書類が多いということは、それだけ入居者の生活を守るための仕組みが整っている証拠でもあります。
特養は人員体制も手厚く、驚くほど多くのスタッフが動いています。介護、看護、相談員、生活支援、調理、清掃、夜勤……多くの専門職が連携してひとりの生活を支えている姿を見ると、「人が人を支える」という介護の本質を改めて感じました。
人員が多いということはそれだけコストもかかりますが、その分、安心して任せられる環境が作られていると強く感じました。