小学生の頃に読んだ「チョコレート戦争」という物語。その中に登場する谷川金兵衛氏の人生が、私の心に深く刻まれています。
金兵衛氏は商売で失敗し、東京に上京するもなかなか職を得られず、靴磨きを始めます。その誠実な仕事ぶりがたまたま客だったホテル支配人に認められ、専属の靴磨きに。さらに宿泊客ハリーさんの財布を拾ったことをきっかけに、フランスへの洋菓子修行へとつながります。
「正直さ」と「仕事への真摯な姿勢」が人生を切り開く・・・ そんなお話でした。
渋谷商会も、13年前に今の弊社建物を購入し、親子で喜び合いました。母や妻に見せたかった、と折に触れて語っておりました。そして今、さらに一歩先の発展を遂げられているのは、ひとえにお客様とオーナーのご信頼とご協力の賜物です。この場をお借りして心より感謝申し上げます。
さて、今回は横山台にて「ら・ふらんす」という洋菓子店を営む村中社長のお話をご紹介いたします。
1995年のオープン以来、30年にわたりご縁をいただいてまいりました。先日インタビューの機会をいただき、2時間半にわたり貴重なお話を伺うことができました。
印象的だったのは、村中社長の「職人は『少々』という言葉を使わない」という一言。
砂糖少々、塩少々――曖昧さを排し、すべてグラム単位で厳密に管理し、数字を仲間全員で共有する。その姿勢が、洋菓子づくりにおける精密さと信頼を築いているのだと感じました。
修行時代には赤坂の洋菓子店で当時1個800円のケーキを任されたとのこと。40年前の800円は、現在の感覚にすれば3000円以上に相当します。和菓子・洋菓子・パンづくりを徹底的に修行され、決して楽ではない労働環境の中でも「不幸だと思ったことは一度もない」と語る姿に、商売の本質を見た思いでした。
特筆すべきは、その修行仲間たちが95年のオープン時にも駆けつけ、今も友情を育み続けていること。華やかな商品を扱いながらも、根本には「仲間との信頼」「お客様との信頼」があるのだと、改めて学ばせていただきました。続きはインスタで。